”月に行きたい”という老人の夢を、老人の記憶を辿り、叶えるアドベンチャーゲーム
TO THE MOONの基本情報(クリックすると確認できます)
タイトル | To the Moon |
ジャンル | アドベンチャー |
ハード | Switch,ios,Android,steam |
プレイ人数 | 一人 |
リリース日 | スイッチ版:2020/1/16 ios版:2017/5/12 Android版:2017/5/12 |
開発元 | freebirdgames←公式サイト |
価格 | スイッチ版:1200円(税込み) ios版:610円(税込み) Android版:520円(税込み) |
”To the Moon”ってどんなゲーム?
舞台は少し先の未来。主人公の2人は少し変わった医者の仕事をしています。それは臨終間近の患者の願いを叶えてあげるというもの。願いを叶えるために患者の記憶の中に入り、願いのターニングポイントとなるところで記憶の操作を行い願いを叶えてあげるというもの。今回の患者の願いは”月に行きたい”というもの。老人の記憶を遡っていくと驚くべき結末が待っていました。老人はなぜ月に行きたいという願いを持ったのか?、そしてなぜ彼は生きている間に月に行けなかったのか?彼の記憶を追体験していくように進めていくこのゲームはプレイしているうちに自然と感情が湧き出てくることでしょう。
”To the Moon”の大きな特徴
一人の人間の記憶を記憶が新しい順から見せていく設定です。要するに物語が進むにつれて、その人間が若くなっていきます。例えばですが、プロ野球選手になりたかったという一人の人間がいます。彼は結果としてプロ野球選手にはなれませんでした。そのなれなかった理由というのは、その人の記憶を辿っていくことでわかる可能性があります。
例えば…
- その人は野球よりもより心を奪われたゲームというもの出会った。
- 実は身体に何らかの障害を抱えていた。
- シンプルに努力が足りなかった。
- 野球そのものが嫌いになった。
なれなかった理由は人それぞれあります。
このゲームは、一人の人間の一生を時間軸とは逆に見せていき、ミステリー風に描くことによりプレイヤーを飽きさせない工夫があります。
”To the Moon”のプレイ時間
このゲームはおおよそ4~5時間ほどで完結します。
ゲームをプレイしているというより映画を見ているような感覚に近いので、プレイするときは一気にプレイすることをお勧めします。
”To the Moon”ネタバレ有のプレイ感想・レビュー
オススメ度:☆☆☆☆
人の一生を映画風に描く感動ゲーム。
ただ人によってかなり満足度が変わるゲームだと思います。それは、このゲームの老人の願い”月に行きたい”という願いが叶うのはあくまでも老人の記憶の中だけ。現実世界では何も変わりません。ココが人によっては一体何がしたかったのかと感じるかもしれません。人生にタラレバなんてないのは分かりますが、このゲームはこのタラレバをうまく利用して物語が出来上がっていると感じます。私が英語を話せタラ…子供の頃もっと勉強していレバ…というように、現実の世界でもこういう風に考える人はいると思います。これをこのゲームでは現実あなたは英語を話せないけど、あなたの記憶の中だけは英語を話せるあなたにしますというような仕事を主人公はしています。そしてこの主人公たちの仕事というのは、あなたの記憶の中に入り、英語を話したいという願望をより強いものにするためのきっかけを記憶の中に作るだけです。
つまり、人間がああなりたいとかこうなりたいとかの願望は時間が経つにつれてうすれていき、結果なることが出来ない。でも私たちがその願望をより強固なものにしますよ、お手伝いしますよ。そして、人間は揺らぐことのない願望があれば必ずその願いはかなう!…というメッセージを感じました。このゲームの物語はもちろん感動のゲームでしたが、このメッセージを私は感じたので、よりこのゲームが素晴らしいなと感じました。
シナリオ面の感想
老人の記憶を遡っていくことで老人の過去が次々と明らかになっていきます。筆者は中盤辺りからリヴァーの行動に心が奪われ、終盤のジョンの過去では、そういう事かと繋がっていきました。要するに、ジョンは幼いころの記憶を兄の死と母親の異常な教育のせいで、記憶をなくしてしまった。何もないジョンは自分のことを普通の人だと考え、劣等感みたいなものを感じ始めます。この時に、奥さんとなるリヴァーと出会います。後に判明するがリヴァーは障がい者でコミュニケーション能力が極端に低く周囲とはなじめないという障害を持っています。ですがその反面記憶力は人よりも優れていることがわかります。そして実はジョンが幼い頃、実はジョンはリヴァーと一度出会っています。しかしジョンは幼いころに記憶をなくしているためリヴァーと出会ったことは記憶にありません。当然リヴァーは覚えています。ジョンは、この普通ではないリヴァーに惚れていき必死にアピールし二人は交際を始めていきます。この時リヴァーは幼いころに出会った記憶を思い出してほしいとジョンに必死にアピールしますが、ジョンが思い出すことはありません。リヴァーのコミュニケーション能力の低さからか、ジョンにうまく伝えることが出来ずリヴァーは奇行ともいえるほどの折り紙でウサギを折っていきます。このリヴァーの奇行ともいえる行動の意味はジョンにはわかりませんでした。二人は次第にすれ違っていきます。最後までリヴァーの心を満たしてあげることが出来なかったジョン。リヴァーと死別したあとも自分の尽くしてきた行動が本当に正しかったのかと疑問を常に持ちます。そしてジョンは完全に失ったわけではなかったリヴァーとの最初の記憶。なんとなく月に行きたいという欲求が溢れてきます。そんな時に出会ったのがこのゲームの主人公たちの存在。ジョンは自分の願いをこの主人公たちに依頼することを決めました。…とまぁ、こんな感じでしょうか。所々私の記憶による憶測も入っているとは思いますが、この出来事が逆から物語は始まっていきます。
操作性の感想
斜め移動も出来なければ、ダッシュも出来ません。この機能はゲームへの没入感を下げますが、それでもこのゲームが感動作であることに違いはありません。
システム面の感想
若干のパズル要素がありますが、正直必要ないなと思える部分です。このゲームはゲームというより映画という方がより一層楽しめるゲームではないかと思います。いかにプレイヤーが主人公を操作する時間を減らせるかが、このゲームが素晴らしいものになっていくかに繋がっているように感じます。極論、コントローラーの操作が0になると、このゲームの没入感が増し、より一層素晴らしいゲームとなったでしょうけど、そうすると果たしてこのゲームがゲームと呼べるのでしょうか?
ビジュアル面の感想
ドット絵で描かれていますが、このドット絵がプレイヤーリヴァーの可愛らしさ、愛しさを増しているように感じます。ドット絵で描かれたリヴァーがプレイ後はとてもかわいく、愛しく見えます。昔ながらのドット絵なので、プレイヤーの好き嫌いがはっきり分かれるところでしょうね。
音楽面の感想
素晴らしいサウンドです。このサウンドがあるからこのストーリーが感動作になったと言っても過言ではありません。序盤から一気に心奪われるサウンドはゲーム内でもあるようにイヤホン・ヘッドフォンで聴くことをお勧めするくらいです。一度聴いたら忘れられないくらい美しく、儚さを感じるサウンドです。ゲーム内の全てのサウンドがオリジナルサウンドらしく、サウンドトラック集が発売されるくらい何度も言いますが、素晴らしいサウンドです。この記事を書いている私は今、このゲームのサウンドを聴きながら記事を書いています。
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